あはき・整体の「広告のルール」― 厚生労働省ガイドラインを、やさしく
── 利用者が安心して施術所を選べるように、国は「広告」の適正化ルールを定めています。
あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう(まとめて「あはき」)や、整体・カイロといった施術には、その広告のしかたに国のルールがあります。 中心になるのが、厚生労働省の「あはき・柔整広告ガイドライン」(令和7年2月18日)と、その根拠となる法律・告示です。 このページでは、そのルールの全体像を、専門用語をできるだけかみくだいてご説明します。
A. どんな法令・通知が関わるのか(全体像)
あはきや整体の広告には、次のような法令・告示・通知が関わります。まずは名前だけでも押さえておくと、後の説明が読みやすくなります。
- あはき師法 第7条(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律/昭和22年法律第217号)… あはきの広告を、法律で定めた事項だけに限る根拠。
- あはき広告告示(平成11年厚生省告示第69号)… あはき師法第7条にもとづき、広告してよい具体的事項を定めた告示。
- あはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月18日 厚生労働省)… 上記をふまえ、広告の適正化と指導のしかたを示した指針。
- 景品表示法(優良誤認・有利誤認の禁止)… 実際より良く見せる表示、価格を有利に見せる表示を禁止。
- 医薬品医療機器等法(薬機法)・医師法… 「治療」「治癒」「診断」など、医行為・医薬品的な効能をうたう表現を禁止。
- 医療法 第3条第1項… 病院・診療所と紛らわしい名称を禁止。
- 健康増進法 第65条第1項… 食品の健康保持増進効果について、虚偽・誤認を与える表示を禁止。
「あはき施術所」と「整体院」で、適用範囲はどう違うか
ここが誤解されやすい点です。整体・カイロなどはあはき師法の直接の対象ではありませんが、 景品表示法・薬機法・医師法は、あはきにも整体にも等しく適用されます。 「国家資格が要らない業態だから広告は自由」ということではない、という点が大切です。
| 法令 | あはき施術所 | 整体院(無資格を含む) | 要点 |
|---|---|---|---|
| あはき師法 第7条 (ポジティブリスト) |
○ 適用 | × 直接適用なし | 有料広告は法律で定めた事項のみ。技能・施術方法・経歴は広告できない。 |
| 景品表示法 (優良誤認・有利誤認) |
○ | ○ | 両者に適用。根拠のない効果や、不当な価格表示を禁止。 |
| 薬機法・医師法 | ○ | ○(特に厳格) | 治療・治癒・診断、医薬品的な効能をうたう表現を禁止。 |
| 医療法 第3条第1項 | 名称規制のみ | 名称規制のみ | 病院・診療所と紛らわしい名称(クリニック等)を禁止。 |
| 健康増進法 第65条第1項 | ○ | ○ | 食品の健康保持増進効果の虚偽・誤認表示を禁止。 |
B.「広告」とは何か ― 3つの要件
ガイドラインでは、次の3つをすべて満たすものを「広告」として扱います。
① 誘引性
お客を集める意図があること(来てもらう・利用してもらうことを目的にしている)。
② 特定性
施術者や施術所が、誰のことか特定できること。
③ 認知性
一般の人が認識できる状態に置かれていること。
自院ホームページは、原則「広告」に当たらない
自分から検索して見に行くホームページは、③の認知性を満たさないと整理されており、原則としてあはき師法のポジティブリスト規制(=広告できる事項の限定)の直接の対象にはなりません。 一方で、次のものは「広告」に当たります。
- バナー広告・リスティング広告(検索連動広告)
- SNS上の広告
- 口コミサイト・紹介サイトへの有料掲載
そして重要なのは、景品表示法・薬機法・医療法・健康増進法は、ホームページにも等しく適用されるという点です。 「これは広告ではありません」と書いたとしても、実質が3要件を満たせば広告として扱われます。 記事風の広告(記事のように見せた宣伝)、体験談を装った宣伝、タイアップ記事なども同じ考え方です。
くわしく:法令メモ(広告の3要件と、ホームページの位置づけ)
ガイドラインは、①誘引性(患者の来院等を誘引する意図)②特定性(施術者・施術所を特定できる)③認知性(一般人が認知できる状態)の3要件をいずれも満たすものを「広告」と定義します。閲覧者が能動的にアクセスする自院ホームページは③を満たさないため、あはき師法のポジティブリスト規制の直接対象外と整理されます。 ただし、これはあくまであはき師法上の広告該当性の話であり、景品表示法・薬機法・医師法・医療法・健康増進法の適用を免れるものではありません。バナー・リスティング・SNS広告や、口コミ/紹介サイトへの有料掲載は3要件を満たし「広告」に該当します。また「広告ではない」旨の但し書きの有無にかかわらず、実質で判断される点にも留意が必要です(いわゆるステルスマーケティング・記事風広告・タイアップも同様)。
メディアごとの法的な位置づけ(早わかり表)
同じ内容でも、どの「入れもの」に載せるかで広告ルール上の扱いが変わります。ペイド・オウンド・アーンドの3つに分けて整理すると、次のようになります。
| メディアの種類 | 一般的な認識 | 広告ルール上の扱い | 規制の強さ |
|---|---|---|---|
| ペイドメディア リスティング広告・チラシ・SNS広告など、費用を払って出すもの |
広告 | 明確に「広告」に該当。あはきのポジティブリスト(広告できる事項の限定)に加え、景表法・薬機法等が全面的に適用される。審査も厳しく、違反は掲載停止・指導の対象。 | 高い |
| オウンドメディア 公式ホームページ・ブログ・自社SNS |
広報・教育 | あはき師法上は原則「広告」に当たらない(自ら見に行くもので認知性を欠くため)。ただし景表法・薬機法・医療法・健康増進法は等しく適用され、実質が3要件を満たせば広告扱い。通報・行政指導の対象になり得る。 | 実質的に高い |
| アーンドメディア 第三者の口コミサイト・他人のSNS投稿 |
評判・口コミ | 院が関与しなければ「広告」ではなく、院の管理外。ただし院が謝礼を払う・依頼して書かせるとステルスマーケティングにあたり、景品表示法違反となる。 | 院の管理外 (関与すると規制対象) |
C. 広告できる事項(ポジティブリスト方式)
あはきの有料広告は、「これは広告してよい」と法律・告示で定められた事項に限られます。 これをポジティブリスト方式といいます。「禁止されていなければ何でもよい」ではなく、 「掲げてよいと定められたものだけ」という考え方です。
広告してよい主な事項は、次のとおりです。
- 施術者である旨、施術者の氏名・住所
- 業務の種類(あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう)
- 施術所の名称・電話番号・所在地を表示する事項
- 施術日・施術時間
- (告示で定められた事項)もみりょうじ、やいと・えつ、小児鍼
- 施術所開設の届出をした旨
- 医療保険療養費の支給申請ができる旨(医師の同意が必要な旨を明示することが条件)
- 予約に基づく施術の実施
- 休日・夜間における施術の実施
- 出張による施術の実施
- 駐車設備に関する事項
加えて、「国家資格保有」である旨の表記は認められています。 なお、健康保険の療養費のしくみ(医師の同意書・受領委任など)は、鍼灸・マッサージと健康保険(受領委任)のページで詳しくご説明しています。
くわしく:法令メモ(ポジティブリストの根拠)
あはきの広告可能事項は、あはき師法第7条第1項各号と、同項の委任を受けた平成11年厚生省告示第69号により具体化されています。療養費支給申請ができる旨を広告する場合は、「医師の同意が必要である旨」をあわせて明示することが条件です(同意の要否を伏せた表示は誤認のおそれがあるため)。これ以外の事項は、たとえ客観的に真実であっても、あはきの有料広告としては掲げられない、というのがポジティブリスト方式の考え方です。
D. 施術所の「名称」のルール
屋号や看板の名称そのものにも、ルールがあります。 医療機関と紛らわしい名称、他の業態と紛らわしい名称、効能を含む名称などは、名称として用いることができません。
● 用いてよい名称の例
- ○○鍼灸治療院/○○鍼灸療院/○○鍼灸治療所
- ○○マッサージ、はり・きゅう○○
- ○○接骨院・鍼灸院
「国家資格保有」を併記することが望ましいとされています。
● 名称に用いられない例
- 医療機関と紛らわしい:診療所、治療室、(業態を含まない)治療院、クリニック、メディカル、リハビリ、ドック、診療科名
- 他業態と紛らわしい:整体、カイロプラクティック、リラクゼーション、リフレクソロジー、コンディショニング、サポート
- 対象を限定する:女性専門、レディース、子ども、スポーツ、美容、交通事故専門、むちうち専門
- 施術内容・技能・方法を含む:東洋医学、中国鍼灸、美容鍼灸、不妊鍼灸、無痛、電気療法、背骨専門
- 効能を含む:姿勢改善、小顔矯正、骨盤矯正
- 施術所と分かりにくい:○○堂、館、道場、センター、ステーション、サロン、ほぐし処、研究所
たとえば「骨盤矯正」「小顔矯正」は効能を含む名称にあたるため、屋号・看板の名称そのものには用いられません(施術内容の説明として本文中で触れることとは別の話です)。
E. 禁止される広告表現と、罰則
ここでは、「やってはいけない表現の型」を、ガイドラインの例に沿ってカタログのように整理します。 以下に挙げるのは、いずれも「使えない表現」の例です。当院がこう述べているという意味ではなく、 広告に用いてはならないものとして示されている点にご注意ください。特定の施術所を指すものでもありません。
E-1. 技能・施術方法・経歴に関する表現
根拠:あはき師法 第7条第2項
- 技能・施術方法をうたう例(いずれも使えない表現)
- 「慢性病の根本治療」「難病治療の専門」「慢性疼痛治療」「高い技術」「唯一の技術」「○○流指圧」「痛くない鍼」「気持ちの良いお灸」
- 経歴をうたう例(いずれも使えない表現)
- 「○○大学にて学位取得」「○○先生に師事」「○○学会会員」「○○(有名人)のトレーナー」
E-2. 虚偽広告
- 事実と異なる例(いずれも使えない表現)
- 実際は休むのに 「年中無休」「24時間施術」、 届出制であるのに 「厚生労働省認可施術所」「知事の許可取得済み」、 「県内で唯一の保険適用施術所」、 実際は都内のみなのに 「関東地方への出張対応」、 実際は有料なのに 「無料駐車場あり」。
E-3. 誇大広告
- 実態より大きく見せる例(いずれも使えない表現)
- 「どんなお客様も医療保険療養費支給申請ができます」(肩こり等は対象外)、 「知事へ届出済みの優良施術所です!」(届出は義務であり、強調は誤認を与える)。
E-4. 比較優良広告
- 他より優れている旨をうたう例(いずれも使えない表現)
- 「県内で唯一、○○に対応」「出張施術はここだけ」。 たとえ客観的な事実であっても、広告可能事項ではなく、誤認を与えるおそれがあるため用いられません。
E-5. 品位を損ねる広告
- 品位を損ねる例(いずれも使えない表現)
- 「保険適用でとってもお得に施術!」「交通事故無料」「来院はムダ!いつでも出張します」「今だけ駐車料金2時間無料キャンペーン」。
E-6. 暗示的表現
- 効果を暗示する例(いずれも使えない表現)
- URLや電話番号のルビで効能を暗示するもの(例:katakorinaoru=肩こり治る、3776=みな治る)、 病人が回復していくイラスト、「レディース鍼灸」、新聞記事・専門家談話・体験談の引用。
E-7. 景品表示法/薬機法・医師法にふれる表現
根拠:景品表示法(優良誤認・有利誤認)/薬機法・医師法
- 優良誤認・有利誤認の例(いずれも使えない表現)
- 「たった1回で完全に消える」「絶対治る」、 価格を有利に見せる二重価格 「通常10,000円が今だけ1,980円」。
- 医行為・医薬品的な効能をうたう例(いずれも使えない表現)
- 「自律神経失調症の治療」「脳卒中の予防」「診断します」「治る」「免疫力がアップしウイルスを撃退」。
罰則と、指導の流れ
これらのルールには、実効性を担保する罰則と行政の対応があります(脅しではなく、制度として存在する事実として記します)。
- あはき師法上の広告違反は、30万円以下の罰金の対象です(あはき師法 第13条の8)。
- 対応は、まず行政指導から始まり、必要に応じて報告徴収(あはき師法 第10条)、それでも従わない・繰り返す場合には告発という流れが想定されています。
- 景品表示法・薬機法・医療法・健康増進法は、それぞれの法律で行政処分・罰則の対象となります。
- これらは、都道府県・保健所・消費生活センターが連携して対応します。
F. ホームページに載せるべき事/載せるべきでない事
ガイドラインは、自費施術に関するホームページについて、自主的な取組の基準も示しています。 法律上の「広告」に当たらない場合でも、利用者保護のために載せることが望ましい事項と、載せるべきでない事項があります。
● 載せることが望ましい事項
- 問い合わせ先の明示
- 施術内容と、通常必要となる費用
- 主なリスク・副作用
● 載せるべきでない事項
- 虚偽の内容、証明できない内容
- 他との比較優良
- 誇大・都合の良い情報の過度な強調
- 費用の過度な強調、受療を過度に煽ること
- 科学的根拠が乏しい情報で不安を煽り、不当に誘引すること
- 公序良俗に反する内容
- 品位を損ねる内容
G. 体験談・ビフォーアフター・口コミの扱い
あはき施術所の場合
有料広告への体験談・ビフォーアフターの掲載は認められていません。 自院サイトにおいても、効果を保証・暗示する形での掲載や、サクラ(実在しない・依頼された口コミ)は、指導の対象になります。
整体院の場合
掲載そのものが直ちに違法になるわけではありません。ただし景品表示法により、事実と異なる口コミや、過度に誤認させる口コミは認められません。 「あはきではないから自由」ということにはなりません。
H. 快晴鍼灸院の遵守状況
ここからは、上のルールに対して当院自身がどうしているかを、事実として列挙します。 他と比べるためではなく、「当院はこうしています」という開示です。
当院が確認している遵守点
- 屋号「快晴鍼灸院」は、業態(鍼灸)を含む名称です。医療機関と紛らわしい語(クリニック等)や、他業態と紛らわしい語は用いていません。
- 国家資格(はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師)を正確に表示しています。「国家資格保有」の表記は、認められた表記です。
- 有料広告に依存しない運営をしています。集客を紹介と継続に置き、広告依存を極力排している分、法定事項以外を有料広告に載せてしまうリスクが、構造的に低くなっています。
- 症状の解説は、「病態仮説」「当院の考え方」であることを明示し、効果の保証や断定を避けています。「治る/治療/診断」ではなく、「ケア/整える/対応/アプローチ」という言葉を用いています。
- 適応・不適応を明示し、医療機関の受診を優先すべきケースを具体的に挙げています(対応できる症状・できない症状)。これは、不安を煽らずに利用者保護を図る、ガイドラインの方向に沿った姿勢です。
- 料金を明示しています(60分4,200円〜)。二重価格や、過度な割引訴求は行っていません。
- 体験談・ビフォーアフター・口コミ・「No.1」表現は用いていません。
- 自費施術については、施術内容・費用・適応外の説明を提示しています。これは、ガイドラインが「載せることが望ましい」とする方向(施術内容・費用・リスク)に合致します。
当院は、療養費(健康保険)の取り扱いについても、「医師の同意が必要な旨」を明示したうえでご案内しています。詳しくは鍼灸・マッサージと健康保険(受領委任)のページをご覧ください。
見え方に不安を感じたら ― 相談できる公的窓口
施術所の広告の見え方に「これは大げさではないか」「事実と違うのではないか」と不安を感じたときは、 次のような公的な窓口に相談できます。あはき・柔整の広告に関する相談は、施術所の所在地を管轄する自治体の窓口が受け付けています。
- 各都道府県・保健所(施術所の所在地を管轄する自治体の窓口)
- 消費生活センター(消費者ホットライン「188」)
これは利用者を守るための正当なしくみであり、まじめに運営する施術所にとっても、ルールが守られることは望ましいことだと当院は考えています。
出典・免責
免責:本ページは、制度の概要を一般の方にもわかりやすいようにまとめたものです。個別の事例の判断や、最新・正確な内容については、必ず下記の原典および所管の窓口をご確認ください。制度は改正されることがあります(本ページの最終更新日:2026年7月22日)。
出典
- 厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドライン」(令和7年2月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001412674.pdf - 厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の広告規制について」(関連規程・通知の一覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_48702.html - あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)第7条
- あん摩業等又はこれらの施術所に関して広告し得る事項(平成11年厚生省告示第69号)
お問い合わせ・院情報
快晴鍼灸院(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう)
〒258-0021 神奈川県足柄上郡開成町吉田島4345-5 杉山ビル1階C号
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